2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染由来重金属が魚類生殖に及ぼす毒性メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J08464
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山口 園子 愛媛大学, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 魚類 / 精子形成 / 重金属 / 環境汚染 / 亜鉛 / 生殖 / 毒性メカニズム |
Research Abstract |
東南アジアの一部に生息する魚類では、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、ルビジウム(Rb)およびヒ素(As)による配偶子形成の阻害が懸念されている。また、カドミウム、水銀などの環境汚染由来の重金属は魚類の精子形成を抑制することが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかではない。重金属は必須元素である亜鉛(Zn)の作用を分子レベルで阻害することが考えられ、Znの精子形成への作用の分子メカニズムが明らかになれば、重金属の作用メカニズムの解明につながると考えられる。本研究では精子形成の内分泌制御機構が明らかとなっているニホンウナギを用いて、魚類の精子形成におけるZnの役割および重金属の影響を解明することを目的として行っている。 本年度はまず、ニホンウナギ精巣生体外器官培養実験系を用いてPb、Mo、RbおよびAsが精子形成に直接及ぼす影響を解析した。本実験系では、魚類の雄性ホルモンである11-ケトテストステロン(KT)の添加により精子形成が促進されるが、Pb、Mo、RbおよびAsにより、KTにより誘導される精子形成が抑制された。また、生体外実験系を用いてAsが精巣での町合成に及ぼす影響を調べた結果、低濃度のAs添加によりKT合成が抑制された。これらの結果から、Pb、Mo、RbおよびAsは精巣に直接的に作用することにより精子形成を抑制することが示唆された。 次に、Znが精子形成における役割を解明することを目的として、ニホンウナギを用いて、精子形成過程での精巣内Zn濃度の変化を誘導結合スペクトル質量分析法を用いて測定した。その結果、精子形成の進行および精子変態に伴い徐々に増加することが明らかとなった。また、Znを特異的に検出する蛍光プローブを用いてZnの局在を解析した結果、生殖細胞に強いシグナルが認められた。これらのことから、Znが精子形成に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)