2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染由来重金属が魚類生殖に及ぼす毒性メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J08464
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山口 園子 Ehime University, 農学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 魚類 / 精子形成 / 亜鉛 / 生殖 / 毒性メカニズム / ヒ素 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
ヒ素、カドミウムなどの重金属は魚類の精子形成を抑制することが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかではない。重金属は必須元素である亜鉛(Zn)の作用を分子レベルで阻害すると考えられ、Znの精子形成への作用の分子メカニズムが明らかになれば、重金属の作用メカニズムの解明につながると考えられる。本研究は精子形成の内分泌制御機構が明らかとなっているニホンウナギを用いて、魚類の精子形成におけるZnの役割および重金属の影響を解明することを目的としている。 これまでに精巣内のZn濃度は精子形成の進行に伴い増加し、生殖細胞、特にミトコンドリアに蓄積することを明らかにした。そこで今年度は生体外精巣器官培養実験系を用いて、Znおよび細胞内・外Znキレート剤が精子形成および精子運動能に及ぼす影響を調べた。その結果、細胞内Znキレート剤により精原細胞の細胞死が誘導されたが、亜鉛の添加により細胞死が抑制された。また、細胞内Znキレート剤は精子の運動能を抑制した。以上の結果から、生殖細胞のミトコンドリアの機能および生殖細胞の維持にZnが重要な役割を担っていることが明らかとなった。 また、ヒ素が魚類精子形成に及ぼす毒性についても調べており、低濃度のヒ素は魚類特有の雄性ホルモンである11-ケトテストステロン(11-KT)の合成を阻害すること、また、高濃度のヒ素は精子形成を阻害することを明らかとした。そこで今年度は、まず、生体外精巣実験系を用いてヒ素がステロイド合成酵素の活性および遺伝子発現への影響を調べた。その結果、低濃度のヒ素曝露で3β-水酸基ステロイド脱水素酵素(3β-HSD)の活性を抑制し、3β-HSDの活性阻害が11-KT合成の抑制を誘導すると考えられた。また、生体外精巣器官培養実験により、高濃度のヒ素は酸化ストレスを生じ、また、生殖細胞のアポトーシスを誘導することが明らかとなり、ヒ素は酸化ストレスを介して生殖細胞にアポトーシスを誘導することが示唆された。
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Research Products
(7 results)