2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブ感情とネガティブ感情が記憶にもたらす影響の違いとそのメカニズムの検討
Project/Area Number |
06J09647
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野畑 友恵 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 感情 / 有効視野 / 慣れの効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ポジティブ感情とネガティブ感情の喚起において形成される記憶にどのような違いがあるのかについて明らかにすることである。この問題に関して本年度は,感情が喚起されたときに,視覚刺激をどのようにみているのか(有効視野)について検討し,ポジティブ感情とネガティブ感情の喚起が有効視野の変化に及ぼす影響の違いを明らかにした。実験では,被験者に画面中央を注視させ,感情喚起後に画面の四隅に提示される数字が検出できるかについて調べ,有効視野の変化を測定した。 1.ネガティブ感情の喚起による有効視野の変化 ネガティブ感情の喚起は,有効視野を狭めることが明らかになった。また,有効視野の変化は感情喚起直後から生じ,比較的長く持続することが示された。さらに,ネガティブ感情による有効視野の狭搾効果は,課題に慣れても頑健に生じることが明らかになった。 2.ポジティブ感情の喚起による有効視野の変化 ポジティブ感情の喚起による有効視野の変化は,課題の試行の初期では生じるが,課題に慣れるにしたがって変化が生じないことが示された。また,感情喚起直後は有効視野の狭搾がみられるが,時間が経過するとその効果はなくなった。しかし,感情喚起直後の有効視野の変化は,ネガティブ感情や感情を喚起しない中性刺激でもみられることから,ポジティブ感情に特有な現象ではないことが示された。 このような結果から,ポジティブ感情とネガティブ感情の喚起では,有効視野の変化に及ぼす影響が異なることが判明した。
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Research Products
(5 results)