2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古室 暁義 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 胃癌 / TGF-β / 癌微小環境 |
Research Abstract |
1.スキルス胃癌細胞株のTGF-β応答性とTGF-β応答因子の網羅的な解析 in vitro条件下において、スキルス胃癌細胞株にTGF-β刺激を行うと形態変化や運動能の亢進が起こることが観察された。このことから、TGF-βがスキルス胃癌の転移に関与することが示唆された。また、マイクロアレイを用いたスキルス胃癌細胞株のTGF-β応答因子の網羅的な解析を行った。その結果、線維化に関与すると思われるVersicanや上皮間葉移行(EMT)に関与するSnailの発現上昇などが起きることが分かった。 2.スキルス胃癌細胞のTGF-βシグナルを遮断した場合のin vivoにおける検討 スキルス胃癌の増殖や転移を抑制することを予想して、スキルス胃癌細胞株にドミナントネガティブTGF-β II型レセプターを発現させ、TGF-βシグナルを遮断した場合の、皮下腫瘍モデルや同所移植モデルでの検討を行った。しかし、結果は驚くことに、スキルス胃癌の増殖や転移を促進することが分かった。この時、線維化が抑制されていた一方で、腫瘍血管新生の亢進が観察された。癌周囲に存在する線維芽細胞や癌血管、すなわち癌微小環境の重要性が示唆された。現在、線維化の抑制のメカニズムと腫瘍血管新生の亢進に関与する因子の同定を解明している。 3.低容量TGF-βシグナル阻害剤と抗癌剤内包ナノ粒子を併用したスキルス胃癌治療の検討 in vivoの結果から、スキルス胃癌細胞のTGF-βシグナルを遮断した場合では、スキルス胃癌の増殖と転移が促進する可能性が示唆された。このことから、TGF-βシグナル阻害剤を癌には作用させず腫瘍血管のみに作用する低容量での投与と、抗癌剤内包ナノ粒子の併用治療を行なった。その結果、腫瘍血管の漏出性を高め、抗癌剤を効果的に癌に到達させることで、治療効果が増強することが分かった。
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Research Products
(1 results)