2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10669
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 聡生 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 実験心理学 / 認知心理学 / 行為と知覚 / 刺激反応適合性 / 反応適合刺激の見落とし / フラッシュラグ効果 |
Research Abstract |
視覚情報と行為の相互作用に関して,以下の3つの研究を行った. 1.視覚情報の行為への影響として,刺激が提示された側での反応が促進される刺激反応適合性効果が知られている.頑強な現象として知られる刺激反応適合性効果が逆転する場合における視覚手がかりと反応割り当ての影響を,それぞれを独立して操作すると共に刺激位置が課題に無関係な場合に関しても検証し,視覚手がかりそのものではなくて視覚情報がどのように反応に割り当てられているかという行為に関連した特性が刺激反応適合性効果における刺激位置の認知の主要な規定因であることを示し,視覚手がかりを主要な規定因とする従来の説を覆した. 2.行為の視知覚への影響として,遂行中の行為と特徴を共有する視覚情報を見落としやすくなることが知られている.この反応適合刺激の見落としにおいて,行為そのものの特徴の重要性が強調されてきたが,いかなる行為を行うかを指示する手がかりや行為をどちらの手で行うかといったような,行為イベントを構成する様々な要因も見落としを生じうることを示した.また一方で,上と右,下と左の空間的対応(直交型刺激反応適合性)は見落としを生じないことを確認し,特徴共有による行為から視知覚への干渉効果の生起の境界条件についての知見を得た.これらの成果についてHoustonで行われた国際学会OPAMで報告し,また英語論文を執筆し国際誌に投稿した. 3.運動刺激近傍で光点が短時間提示されたとき,光点に対する運動刺激の位置が相対的に運動方向に進んで知覚されるフラッシュラグ効果において,運動刺激を指差し追跡するとフラッシュラグ効果が低減されることを示し,行為の関与が視知覚をより正確にすることを明らかにした.本研究成果を日本心理学会第70回大会で発表した.
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Research Products
(1 results)