2006 Fiscal Year Annual Research Report
太陽大気での活動現象のエネルギー源を示す磁気ヘリシティの生成・消失過程について
Project/Area Number |
06J10698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽 / 磁気ヘリシティ / 光球面 / 彩層 / 偏光分光観測 |
Research Abstract |
今年度は、太陽大気(以下、コロナ)での活動現象の鍵となる、磁気ヘリシティと呼ばれる物理量について、以下の研究を進めた。1、太陽大気下層部(以下、彩層)での偏光分光観測。2、太陽表面(以下、光球面)の磁場データを用いての、光球面からコロナへの磁気ヘリシティ入射量の統計的な解析。3、磁気ヘリシティ入射量の統計的傾向を説明する、太陽内部の磁気ヘリシティ生成機構についての、数値計算的手法による研究。 これまでの磁気ヘリシティ入射量の研究は、光球面の磁気データを使って行われていた。光球面よりコロナに近い、彩層での磁気データを取得し、磁気ヘリシティ入射量を測定する事は、今後の研究の一つの方法であり、研究1の最終的な目的である。今年度、国立天文台乗鞍コロナ観測所において、彩層の偏光分光観測を行った。現在は、これらの偏光分光データを磁気データに変換する為のプログラムを作成中である。 研究2について、これまでの研究では、磁気ヘリシティ入射量の統計的な傾向について調べられていない。今回の研究ではヘリシティ入射量の緯度依存性、磁束量依存性を調べた。この結果、各活動領域の磁束量が磁気ヘリシディ入射量の最大値に比例している、という興味深い傾向が得られた。この傾向は、太陽内部における磁気ヘリシティの生成機構について制限を課すものと思われる。 研究3では、研究2で得られた統計的な傾向を数値計算により再現することを試みた。これまでに提唱されている磁気ヘリシティの理論的な生成機構を用いて、磁気ヘリシティ入射量の再現を試みたが、残念ながら観測値を満足する結果は得られなかった。この結果については、磁気ヘリシティ生成機構の理論と太陽内部の物理量に議論の余地があると考えられる。来年度はこれらについても研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)