2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネの分裂組織の維持と小穂形成に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
06J10809
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寿崎 拓哉 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 植物 / 形態形成 / イネ / 進化 / CLAVATA |
Research Abstract |
植物のシュートの頂端分裂組織や花分裂組織は葉や花などの側生器官の形成に重要である.シロイヌナズナではCLAVATA(CLV)シグナル伝達系によりメリステムの維持制御が行われていることが知られている.本研究は高等植物の分裂組織の制御の共通性・多様性を明らかにすることを大きな目標とし,具体的にはイネの分裂組織の維持の遺伝的制御機構を明らかにすることを目標としている.これまで,イネの2つのFLORAL ORGAN NUMBER遺伝子(FON1,FON2)の解析を行ってきた.その結果,イネにおいても,CLVシグナル伝達系が基本的には保存されているが,その一方で,イネに独自の制御系が存在していることも示唆された.今年度は,イネの分裂組織の維持制御に関わる新たな因子を単離し,その機能解析を行った. FON2遺伝子を単離する過程で,インディカのカサラスゲノムがジャポニカのfon2変異を抑圧する可能性が示唆された.そこでQTL解析を行い,主働遺伝子が座乗している領域から候補となる遺伝子を絞り込み,解析を行った結果,fon2変異の抑圧遺伝子を同定することに成功した.この遺伝子をFON2 SPARE(FOS2)遺伝子と命名した.FOS2はFON2と同様にCLE familyに属するペプチド性のシグナル分子であった.次にin situ hybridizationによる発現パターン解析や構成的遺伝子発現体の表現型解析など,FOS2の詳細な機能解析を行った.その結果,FOS2はイネの栄養成長の分裂組織の制御に関わっていることが明らかとなった.シロイヌナズナでは,CLVの単一なシグナル伝達経路によって地上部のすべての分裂組織が維持制御されている.それに対し,本研究により,イネのシュート頂,花序,花の分裂組織は異なるシグナル伝達経路のコンビネーションにより制御されていることが強く示唆された.
|
Research Products
(1 results)