2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽元素の宇宙論的起源の考察と超対称性理論・再加熱温度への制限
Project/Area Number |
06J11384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下部 元彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 軽元素 / 宇宙論 / 超対称性理論 / 初期宇宙 / 元素合成 |
Research Abstract |
1.低金属量のハロー星で観測される6Li同位体の合成過程として提案されている、銀河形成前の天体に付随する宇宙線による元素合成に着目して研究を行った。この宇宙線元素合成では、6Liや7Liを作る過程が起こる他に、炭素や酸素が核反応で砕け々ときに、ベリリウム(Be)やホウ素(B)も作られると考えられる。これを考慮し、ハロー星でのBe, Bの観測値と比較することで、私たちの宇宙で実際に起こったこの宇宙線元素合成の様子を制限し、実際に観測されている6Liの起源がこの過程である可能性を評価できる。そこで、宇宙でのさまざまな元素組成の時間進化を与える簡単なモデルに対して、宇宙線元素合成による6Li, Be, Bの合成量を計算した。計算結果から、ハロー星の6Liが宇宙線元素合成でできたというシナリオはBe, Bの観測値と矛盾しないことが示された。また、6Liがこの過程でできたとすると、今観測されている星よりも低い金属量のハロー星が、ある一定レベルのBe, Bを含んでいることが示唆される。Be, Bの望遠鏡観測によって宇宙初期の宇宙線元素合成の証拠を明らかにできる可能性があることが分かった。 2.最近、宇宙初期に負の電荷を持つ未知の粒子が存在したときに、ビッグバン元素合成の状況が変わることが研究され、注目されている。この状況では出来る元素の量が変わってきて、宇宙の天体での元素組成の観測値と矛盾してしまう。つまり、その状況は私たちの宇宙とは無関係なものである。さらに、この状況では6Liが大量に合成されうるという報告がされている。そこで、1.この未知の粒子がどの程度までならば存在することができたのか、2.この状況で6Liが、ハロー星で観測されている程度合成されるのか、の2点に目標を定め研究を行った。そして負電荷の粒子の数密度に制限を与え、6Liが大量に合成されるときの負電荷粒子の数密度を求めた。
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Research Products
(3 results)