2006 Fiscal Year Annual Research Report
bクオークの電弱稀崩壊事象の精密測定による新しい物理の探索
Project/Area Number |
06J11406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 浩幸 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子物理学実験 / 電子陽電子衝突 / 高ルミノシティ / Bファクトリー実験 / 電弱相互作用 / Belle実験 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Belle実験においてB→X_s1^+1^-という電弱稀崩壊過程を観測し、標準理論を越える新しい物理の理論モデルを探索することである。この過程は、標準理論の範囲では強く抑制されているフレーバー変換中性カレント(FCNC)過程の一つであり、新しい物理の効果を発見しやすいという特徴を持つ反面崩壊分岐比が10^<-6>と小さいため測定が難しく、高いルミノシティーでB中間子を大量に生成する必要がある。 我々が用いているKEKB加速器は2007年1月、Crab Cavityを導入した。これによって近い将来従来の約2倍のルミノシティーを達成することが見込まれている。このとき、従来の読み出し系ではデッドタイムが大きくなってしまうため、読み出し系をパイプライン化して高トリガー条件にも耐えうる読み出しシステムを構築することが急務であった。このような要請から、我々はパイプライン読み出しモジュールCOPPER(COmmon Pipelined Platform for Electronics Readout)を開発してきた。私は、Belle検出器のセントラルドリフトチェンバー(CDC)の読み出しシステムにCOPPERを導入する作業を行い、CDCのデットタイムを約1/10に削減することに成功した。 また、本研究において、B→X_s1^+1^-過程の解析を行うための準備を進めた。具体的には、2008年までにBelle実験で見込まれるB中間子対、約10億個に相当する統計量に備えるために、シグナル事象、および背景事象の、モンテカルロ事象を生成した。さらに、生成された事象に対して、検出器シミュレーションを行った。現在これらのモンテカルロ事象を用いて、背景事象の削減・事象再構成効率の改善方法、さらに崩壊点検出器を用いた新しい解析手法の開発を進めている。
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