2007 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母が窒素源飢餓に応答して有性生殖を誘導する機構の研究
Project/Area Number |
06J11477
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸田 俊希 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分裂酵母 / オートファジー / 窒素源飢餓 |
Research Abstract |
分裂酵母を用い、細胞が外界の栄養条件という情報を細胞内の活動に反映させる機構の解明を目指している。富栄養条件と飢餓条件では、多くの細胞内活性が変化するが、我々は保存されたタンパク質分解機構であるオートファジーに着目した。前年度までの研究により、分裂酵母は、窒素源飢餓条件におかれると、自身のタンパク質をオートファジーにより分解し、分解産物を「窒素源」として再利用することで飢餓条件に適応することが明らかとなった。また分裂酵母のオートファジーの誘導・抑制は窒素源の有無により厳密に規定されており、外界に窒素源が存在する場合に、「窒素源がある」という情報をもとにオートファジーを抑制することに、TOR(Target Of Rapamycin)キナーゼが重要な役割を果たすことも明らかとなった。本年度は、分裂酵母が「外界の窒素源の量をモニターし」オートファジーの活性を制御する機構を、さらに解明することを目的としてスクリーニングを行った。 オートファジーに必要なプロテアーゼをコードするisp6遺伝子は、転写活性が窒素源の有無にきわめて敏感に反応する遺伝子であり、転写レベルで「外界の窒素源の量をモニターする」機構の制御を受けていると考えられた。その転写活性はプロモーターのみに依存していたので、isp6遺伝子のORFを他のマーカー遺伝子に変換し、マーカー遺伝子の表現型を指標に、isp6の窒素源依存的な転写活性に必要な因子をスクリーニングした。その結果、転写因子をコードするgaf1遺伝子を得た。gaf1破壊株では、isp6の転写が有意に低下していた。また局在を解析した結果、窒素源存在下では細胞質に一様に存在しているGaf1が、窒素源飢餓条件下におかれると速やかに核に集積することが明らかとなった。以上のデータから、Gaf1は窒素源飢餓時にisp6の転写を活性化させる役割を果たしていると考えられた。
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Research Products
(2 results)