2006 Fiscal Year Annual Research Report
二枚翼を用いたサイレント超音速旅客機実現へ向けた実験・計算融合研究
Project/Area Number |
06J52112
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博 東北大学, 流体科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 流体 / 環境技術 / ソニックブーム / 超音速 |
Research Abstract |
本研究は,古典的なブーゼマン翼の概念を応用した二枚の翼を用いて衝撃波を干渉・相殺させることで,造波抵抗を低減しつつソニックブーム騒音問題を根本的に削減することを目指しており,大型の超音速旅客機(SST)にも応用可能な革新的空力形状について研究を行っている。本研究は,東北大学21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」で招聘した楠瀬博士の協力のもと,提案した超音速複葉翼理論に基づき実験・数値流体力学による新しい設計技術の組み合わせで,学術的可能性を探ったきわめて独創的な研究である。 本研究1年目の成果として,離着陸から超音速巡航(マッハ数1.7に設定)までの幅広い速度域において,二枚翼の課題であった流れのチョーク現象に伴う造波抵抗の増加の回避方法を提案し,45th AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit国際会議で発表を行った。具体的には旅客機が離着陸(低速域)に必要となるフラップ・スラット等の既存の高揚力装置を,新たな装置を加えることなく超音速域でのチョーク回避に利用する方法である。また同研究グループ内で,超音速巡航時に必要な揚力を持つ二枚翼形状についても数値流体力学(CFD)を用いた設計を行っている。実験面でも,低速風洞・遷音速風洞・超音速風洞を用いて二枚翼まわりの流れの可視化と翼間流れのチョーク現象とヒステリシスの確認など,特筆すべき成果を上げ,計算と実験を通じて複葉翼理論の実証を行うことができた。研究2年目は,より市場指向性の高い機体を実現させるため,機体胴体から発生するソニックブーム低減技術の確立を目指し研究を進める。具体的には,ソニックブーム伝播解析プログラムの高精度化によるソニックブームの定量的評価と,新たな低ブーム機体形状について徹底的な分析を行っていく。 米国航空宇宙局(NASA)や我が国の宇宙航空研究開発機構(JAXA)では超音速機の研究が長年続けられており,一方で米国や欧州では民間による小型超音速ビジネスジェット機の開発が活発に行われはじめている。航空市場におけるニッチとしての超音速機が注目され,実用化の気運が高まっている。二枚翼による低抵抗・低騒音実現という独創的な本研究のコンセプトを活かし,超音速旅客機の設計をさらに進める。
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