1996 Fiscal Year Annual Research Report
カラハリ砂漠とその植生移行帯における民族多様性に関する生態人類学的研究
Project/Area Number |
07041012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 二郎 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (30027495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70245273)
中川 裕 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70227750)
野中 健一 三重大学, 人文学部, 助教授 (20241284)
大崎 雅一 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 講師 (40254453)
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80133685)
太田 至 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (60191938)
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Keywords | カラハリ砂漠 / 植生移行帯 / 民族多様性 / サン / ボツワナ / ナミビア / 人類学 / 環境利用 |
Research Abstract |
1.定住化にともなうサンの生業の変容について、狩猟、採集、畑耕作、ヤギ飼育、民芸品製作、道路工事賃労働への個々人の選択状況を調査した。また、畑の請負い耕作やヤギの委託の変化から、農牧民カラハリとの共生関係の動態についてのデータを収集した。 2.グイの親族呼称の研究のために、3つのキャンプの成員63人について資料を集めた。また、グイとの比較研究のために、ホアン語とツェラ語の基本的親族名称体系に関するデータを収集した。 3.グイ語とガナ語の歴史的関係を再建するために、両言語の諸方言におけるクリックの消失と、歯茎音の口蓋化に関連する約800語について比較言語学的な分析をおこなった。 4.サンの年長男性の生活史を分析することにより、1950年代以前の、サンと農牧民カラハリ族との経済的・社会的関係の一端が明らかになった。同時に、バントゥ文化に固有な妖術・邪術信仰が、死や病気、障害といった不幸に関するサン自身の解釈枠組みに影響をおよぼしていることが判明した。 5.サンの自然認識と環境利用の分析のために、昆虫利用に関する民族動物学的調査を聞き取りと観察に基づいて実施した。また、道具類を中心として製作過程や材料の選択、使用方法についての調査を進めた。 6.ボツワナでは政府主導によるサンの定住化政策が進んでいるが、本年より住民の動物保護区内からの再移住問題が表面化しつつあり、この問題に対する住民の対応について調査をおこなった。 7.ヘレロとヒンバの両集団の関係を解明するために、1980年代前半の大旱魃のあとでヒンバが家畜群を再建した過程を調査した結果、ヘレロとの社会的ネットワークが動員されていることが明らかになった。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 太田 至: "ナミビア北西部のカオコランドに住むヘレロとヒンバのエスニック・バウンダリ-の動態" アフリカ研究. 48. 115-131 (1996)
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[Publications] 大崎雅一: "歴史的観点からみた|Gwiと||Ganaブッシュマンの現状-セントラル・カラハリの事例より" 民族学研究. 61(2). 263-276 (1996)
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[Publications] 菅原和孝: "民族誌としての語り" 言語人類学を学ぶ人のために. 104-136 (1996)
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[Publications] 菅原和孝: "Some methodological issues for the analysis of everyday conversation among the |Gui." African Study Monographs,Suppl.Issue. 22. 143-162 (1996)
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[Publications] 田中二郎: "The world of animals view by the San" African Study Monographs,Suppl.Issue. 22. 11-28 (1996)
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[Publications] 大野仁美: "An ethnosemantic analysis of |Gui relationship" African Study Monographs,Suppl.Issue. 22. 125-144 (1996)
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[Publications] 大野仁美: "On an aspect of |Gui relationship terminology" 麗澤大学紀要. 62. 227-235 (1996)
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[Publications] 野中健一: "Ethnoentomology of the Central Kalahari San" African Study Monographs,Suppl.Issue. 22. 29-46 (1996)
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[Publications] 野中健一・中川裕: "グイ・ガナブッシュマンの生活にみられる人間と昆虫の関係" インセクタリゥム. 33. 288-291 (1996)
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[Publications] 中川 裕: "An outline of |Gui phonology" African Study Monographs,Suppl.Issue. 22. 101-124 (1996)
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[Publications] 中川 裕: "フィールドワークのための音声学" 言語人類学を学ぶ人のために. 62-94 (1996)
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[Publications] 中川裕・野中健一: "言語学と地理学の一接点" 言語. 25(6). 27-35 (1996)