1995 Fiscal Year Annual Research Report
髄腔内酸素分圧測定を用いた胸部大動脈手術時の脊髄虚血モニター法の開発
Project/Area Number |
07671473
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 發三 岡山大学, 医学部, 講師 (40033344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角南 博 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
田辺 敦 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 胸部大動脈手術 / 合併症 / 脊髄虚血 / 対麻痺 / 酸素分圧 / モニター法 / 前脊髄動脈 |
Research Abstract |
髄腔内酸素分圧による脊髄虚血モニターの意義ならびにその根拠を明らかにするため、大動脈の段階的遮断による、段階的な脊髄虚血を加えた際の、脊髄自体の酸素分圧変化に対する髄腔内酸素分圧の変化を調べた。実験犬9匹の平均では、脊髄実質内酸素分圧変化に対する髄腔内酸素分圧変化の相関係数は0.927±0.060と高い相関係数を示しており、その個々の症例において有意の相関を認めた。一方、その対照として測定した脊髄硬膜外酸素分圧の相関係数は0.847±0.085と良い相関を示したが、髄腔内酸素分圧には及ばず、その指標としては髄腔内酸素分圧を用いた方がよいことが示唆された。以上の研究実績に関しては現在投稿中である。 また大動脈手術時の脊髄虚血の原因としては、栄養する肋間・腰動脈の血流が途絶えることにより起きる虚血がその大きな要因を占めている。そのため前脊髄動脈への血流がどの肋間・腰動脈から供給されているかを同定すれば、その動脈を選択的に灌流することにより大動脈遮断時の脊髄虚血の問題を根本から解消しうることになる。脊髄髄腔内酸素分圧がわずかな脊髄実質の酸素分圧変化にも鋭敏に反応することを確認しており、これを用いて各肋間・腰動脈から酸素化生食を注入する方法で特定の肋間・腰動脈が前脊髄動脈に流入しているかどうかを判断することができるという知見を得た。そこで実験対象の犬における前脊髄動脈およびそこへ流入する肋間・腰動脈の解剖についても検討を加え、左側からの流入が多いこと、また腰分脊髄に流入する大前根動脈とも呼ばれる動脈はL_1からL_4付近からの流入が多いことも判明した。 以上のような結果より、今後の計画として髄腔内酸素分圧の低下に対する脊髄の安全限界、髄腔内酸素分圧モニターを利用した酸素化生食注入による脊髄灌流動脈同定方法の精度、およびその同定された動脈の灌流による効果などの研究を進める予定である。
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