2007 Fiscal Year Annual Research Report
ランチビオティックnukacin ISK-1の作用機作解明とペプチド工学への応用
Project/Area Number |
07F07164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園元 謙二 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ASADUZZAMAN Sikder Mohammad 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ランチビオティック / nukacin ISK-1 / 作用機作 / 静菌作用 / 形態変化 / 非溶菌 |
Research Abstract |
nukacin ISK-1のようなN末端のtail領域と異常アミノ酸を含むC末端のring領域から構成されるタイプA(II)ランチビオティックでは、その作用機作は未だ解明されていない。その構造に基づく作用機作の分子機構解明は、新規で優れた諸性質を兼ね備えたランチビオティックの合成にとって必要不可欠である。nukacin ISK-1の活性には完全な構造体が必須であり、N末端のリジン3残基は静電的な細胞膜への結合及び、それに伴う抗菌活性に必須であることが示された。また、nukacin ISK-1と同タイプのランチビオティックlacticin 481との様々なキメラ体を作製した結果、リジン残基、プロリン残基及び疎水性残基が抗菌活性に重要であることが明らかとなった。さらに、nukacin ISK-1は感受性菌の膜電位を崩壊せず、感受性菌からATPやカリウムイオンの流出を引き起こさなかった。よって、nukacin ISK-1は細胞膜に結合した後、非溶菌的な増殖阻害を起こすものと考えられる。事実、高濃度のnukacin ISK-1に長時間曝露された感受性菌は生育能力を示した。そこで、異なるタイプのランチビオティック、nisin(タイプA(I)、ペプチドグリカン前駆体のリピッドIIを認識・結合分子とし、感受性菌に孔を形成し、殺菌作用を示す)やmersacidin(タイプB、酵素を阻害して抗菌性を示す)、を比較対象とした細胞の形態変化を走査および透過型電子顕微鏡を用いて調べた。その結果、他の二つのランチビオティックと比べて、nukacin ISK-1は感受性菌の外観および内部構造に何ら変化を与えなかった。これらの知見から、nukacin ISK-1の作用機作は細胞膜に結合した後、孔を形成せずに静菌的に作用することが示唆され、nukacin ISK-1はこれまでに報告例がない静菌的ランチビオティックと考えられる。
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Research Products
(3 results)