Research Abstract |
養殖クルマエビに多大な被害を出しているクルマエビ急性ウイルス血症原因ウイルス(WSSV)の感染予防を目的とする。平成20年度はDNAワクチンの効果確認試験を行った。ウイルスの高感度検出法であるLAMP法を確立し,学会発表と論文発表を行った。ウイルスとしては,日本で特定疾病に指定されているYHV,IHHNVおよびTSVなど重要な病原性ウイルスを含む。同時に,これらの高感度検出法を発展させて,定量検出法を確立した。本法は高感度定量検出法として,ウイルス病の感染予防に貢献できる。WSSVの感染に重要な役割をはたすVP-28とVP281およびアポトーシスを起こすカスパーゼ遺伝子を標的にしたRNAiを作製し,これらによるWSSV感染防御効果について検討した。その結果RNAiによって,標的遺伝子の発現は抑制されることが明らかとなった。RNAi投与によるWSSV感染防御効果に差は見られたものの,一定の感染防御効果がみられた。とくに,VP-28とカスパーゼ遺伝子による防御効果は高かった。このことから,VP-28が感染に関与していることと,アポトーシスがウイルス感染の拡大に大きな役割を担っている事が明らかとなった。同時に,高感度定量検出法を用いて,RNAi投与後のウイルス感染におけるウイルスの体内に置ける動態を現在調査中である。今後,これらの結果を論文化するとともに,peneidin,crustin,lysozymeなど免疫関連遺伝子の動態なども解析して,ウイルス感染に対するエビ類の生体防御機構を明らかにしたい。
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