2008 Fiscal Year Annual Research Report
自動車運転場面における違反・リスクテイキング行動発生メカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
07J00575
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 宏 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 交通心理学 / 交通安全 / 運転技能 / リスクテイキング / 指定自動車教習所 |
Research Abstract |
本研究は、交通事故防止を目的とし、特にドライバーのリスクテイキング対策に焦点を当てたものである。リスクテイキング行動とは「危険を認識した上で敢えてその行為を行うこと」と定義され、その規定因には環境要因およびドライバーの心理的要因が挙げられる。 昨年度以来、ドライバーの心理的要因の中でも「運転技能に対する自己評価」に注目し、月の輪自動車教習所(滋賀県大津市)の場内コースにおけるフィールド実験の結果から、高すぎる自己評価が高速走行や横断歩道付近での不適切な行動を誘発することを示した。 本年度はこれに加え、ドライブレコーダーを車載した教習車を用いて、同教習所周辺の公道における実走行実験を行った。走行後、半数の参加ドライバー(一般企業から募集)には採点基準を公開して自己評価を求めた。残りの半数には、基準を示さないまま自己評価を求めたが、いずれの群においても指導員評価よりも有意に過大評価する傾向が見られた。このことから、一般ドライバーは「どのような運転が上手いのかを知らないために自身の運転技能を過大評価する」のではなく、「何をもって上手いのかは知っているものの、自身が安全な運転をできていると思いこんでいるために過大評価する」ことが示された。 生態学的妥当性の高い公道での実験においても、運転技能に対する高い自己評価が安全を阻害する要因であることが明らかとなったため、今後は自己評価が高まる時期や、適切な自己評価ができるようになるためのトレーニング法等について検討し、研究成果を実際の交通安全に役立てる必要がある。
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Research Products
(6 results)