2007 Fiscal Year Annual Research Report
応答機能を有するビアリール型酸化還元系の集合化とその機能開発
Project/Area Number |
07J02507
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 英輔 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化還元系 / 自己組織化膜 / FT-IR ATR / 電気化学的双安定性 |
Research Abstract |
今年度、報告者はまず金電極修飾能を有する酸化還元系の設計と合成を行った。分子設計としては、金と安定な結合を形成するもの、酸化体であるカチオン状態が安定であるもの、中性の水の電位窓領域において酸化還元が行えるものを目指して行い、新規な酸化還元系の構築に成功した。このものは、2電子酸化を受けると新たなC-C結合が生成したジカチオンとなり、2電子還元を受けると結合が切断されて元の中性体へと戻る、動的酸化還元系である。 次に、この中性体の希薄溶液に金電極を浸漬することにより、金-S結合が形成され、中性体で修飾された金電極を構築することが可能であることを明らかとした。修飾金電極のサイクリックボルタモグラムは、酸化ピークと還元ピークが大きく分裂した電位に観察され、バルク溶液中と同様、電位移動に際してC-C結合の生成・切断が起こっているのではないかと考えられた。 そこで、修飾金電極に電位を与えながら全反射IRスペクトルを測定し、単離された中性体とジカチオン塩のバルクIRスペクトルとの比較を行った。その結果、酸化ピークでは中性体からジカチオンへの、還元ピークではジカチオンから中性体への変化が起こっていることを確かめることができ、金電極上でも動的酸化還元挙動が見られることが明らかとなった。また、ピークの間の領域においては中性体・ジカチオンどちらのスペクトルもそのままのピーク形状を維持した。これは、その間の広い電位領域において還元体と酸化体のいずれの状態も取りうるということを意味し、報告者が構築した修飾金は、高い電気化学的双安定性を有する自己組織化膜の初めての例であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)