2007 Fiscal Year Annual Research Report
青色光受容蛋白質のドメインに共通する光誘起反応分子機構の解明
Project/Area Number |
07J04902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中曽根 祐介 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質科学 / フォトトロピン / LOV / BLUF / YcgF / 光センサー蛋白質 / 過渡回折格子法 / 光反応ダイナミクス |
Research Abstract |
大腸菌由来の青色光センサーであるBLUF蛋白質YcgFの光受容からシグナル伝達に至る分子機構を解明するため、これまで全長蛋白質の光反応を捉え、分子間での会合(ダイマー化)反応を検出している。この反応がどの部位で起こっているかを調べるため、光受容を担うBLUFドメインだけを切り取った試料を発現・精製するシステムを構築し、試料の採取に成功した。得られた試料の光反応を過渡回折格子(TG)法により測定した結果、全長蛋白質で観測されたダイマー化反応は検出されなかった。このことからBLUFドメインは光を受け取った後、C末端側にある活性ドメインに構造変化を引き起こし、このドメイン間で会合反応が起こるという反応機構が提唱された。 またYcgFの全長蛋白質は暗状態でダイマー・モノマー間の平衡にあり、その平衡定数が温度に強く依存することがゲルクロマトグラフィーの結果から明らかになった(低温ではダイマーとして安定に存在している一方、温度を上げていくとモノマーの存在比率が上昇する)。さらにダイマー・モノマーの光反応をTG法を用いて測定したところ、ダイマー化反応を示すのは、暗状態でモノマーとして存在している分子のみであることがわかった。このようにシグナル伝達に重要な反応が初期状態に依存し、さらにその初期状態が温度によって決まることから、YcgFは大腸菌内で光センサーであると同時に温度センサーとしての機能を有している可能性が示唆された。この可能性を検証するため、YcgFの変異株と野生株を用意し、それぞれの温度に対する振る舞いを解析していく。これが証明されれば、光反応という観点から蛋白質の機能を発見したことになり、非常に意義深いものになるであろう。
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Research Products
(2 results)