2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドPACAPによる精神行動制御の分子薬理学的機能解析
Project/Area Number |
07J05098
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嶋田 健 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 精神疾患・障害 / 神経細胞分化 / セロトニン神経 / 幹細胞 / noggin / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが確立した、ES細胞からセロトニン神経細胞への分化誘導系や遺伝子改変技術などを用いて、発生期および成熟後でのPACAPの各神経系における役割の解明を目指してスタートし、前年度の検討では、PACAPがセロトニン神経への分化を抑制することなど、PACAPシグナルの神経分化への関与を明らかにしてきた。その一方でBMPアンタゴニストであるnogginが強力なセロトニン神経分化誘導作用を示したため、平成20年度はセロトニン神経分化におけるnogginの重要性に着目して、そのメカニズムの詳細を検討し、以下のことを明らかにした。 1)Nogginのセロトニン神経誘導作用が、これまで用いていたES細胞株であるE14tg2aのみならず、他のES細胞株であるD3、さらには近年樹立されたiPS細胞でも認められることを確認した。 2)Nogginは神経分化の初期に作用することでセロトニン神経を誘導する可能性が示され、これまでにセロトニン神経誘導因子として報告されているsonic hedgehog(Shh)やFGF4、8とは異なり、特に神経幹細胞以前の段階で作用を発揮することが示唆された。 3)ES細胞より分化誘導させたセロトニン神経の機能評価を行う目的で、同セロトニン神経を特異的に標識し、回収できる系を構築した(ePet-EGFP導入ES細胞の作製)。 また、精神行動制御における各神経系の役割を明らかにする目的で、部位特異的に神経活動を調節可能な遺伝子改変マウスの作製を進めている。現在までにマウスの作製に用いる相同組換えES細胞の作製を完了しており、今後マウスの作製へと進む予定である。
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Research Products
(6 results)