2007 Fiscal Year Annual Research Report
レゴリス起源隕石の鉱物学的・化学的研究に基づく小惑星進化過程
Project/Area Number |
07J05413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 大輔 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 隕石 / 希ガス / X線回折分析 / 宇宙塵 |
Research Abstract |
本研究は、Dhofar018という小惑星ベスタ由来の隕石を鉱物学的・化学的見地から調べることにより、小惑星ベスタの軌道進化過程および表層進化過程を明らかにするものである。初年度は、希ガス同位体組成を用いて、小惑星ベスタの平均公転軌道半径の推定を行なうとしていた。しかし、希ガス分析の前に、隕石試料の主要元素組成を決定する必要がある。この主要元素組成の測定方法を検討中であるため、希ガス分析を行なわなかった。 Dhofar018には、含水ケイ酸塩からなる宇宙塵および周囲に放射状の割れを伴うSiO2相が含まれている。含水ケイ酸塩の加熱脱水の程度から小惑星ベスタ表層の加熱の程度を推定し、SiO2相の結晶構造からベスタ表層への塵・限石衝突の衝撃圧を推定することを目的としていた。初年度に行なったX線回折分析では、DhofarO18中の宇宙塵は含水ケイ酸塩からなることが示された。しかし、通常の宇宙塵に含まれる含水ケイ酸塩とは結晶構造が異なることや、主要元素組成がホストであるDhofar018のものに近い(通常の宇宙塵のものとは異なる)ことから、Dhofar018の宇宙塵は、他天体由来ではなく、ベスタ由来であるかもしれない。このことは、従来、水を含まないとされていた小惑星ベスタに水が存在していた可能性を示唆するものであり、より詳細に検討する必要がある。SiO2相については、ラマン分光分析・X線回折分析両方から、Dhofar018のSiO2相は高圧多形ではなく、高温多形であるという結果が得られた。衝撃圧により高圧多形に転移した後、高温多形に転移した(戻った)と考えられる。SiO2相中に高圧多形が残っている可能性があるため、透過電子顕微鏡を用いてSiO2相を詳細に観察する。
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Research Products
(2 results)