2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の私学による中等教員養成の歴史社会学的研究
Project/Area Number |
07J05536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 拓紀 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中等教員養成史 / 歴史社会学 / 私学高等教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代日本の私学が中等教員養成に果たした役割を明らかにすることである。これまでの中等教員の歴史的研究は、官立学校による養成とその出身教員、あるいは文部省教員検定試験などに主に焦点があてられてきた。しかし、中等教員の供給源として重要な位置を占めた私立学校による教員養成を明らかにしなければ、中等教員史の全貌が見えてこないといえよう。本研究では、(1)学生の来歴(教員養成を行う私学にどのような階層・地域出身者が在籍していたのか)(2)学校の内部過程(私学教員養成機関のカリキュラムや、その学生文化とはどのようなものであったのか)(3)社会的機能(卒業生は中等教員社会でどのような位置を占め、どのような教育実践を行ったのか)の3つの領域を設定し、私学による中等教員養成史の全体像を描きだしたいと考えている。 以上の問題意識にそって、本年度実施した研究内容は以下の通りである。 1.これまで検証してきた早稲田大学高等師範部以外の私学出身中等教員のキャリアとは、どのようなものであったのか。 比較的歴史の古い国学院大学、日本大学、青山学院、そして早稲田大学のそれぞれ文学部、高等師範部出身中等教員のキャリアと、帝国大学、高等師範学校出身者のそれとを昭和初期において比較し、私学出身中等教員のキャリアの特性を検証した。その成果は『日本教師教育学会年報』第16号に掲載された 2.今後教師の来歴、出身階層の歴史的研究を行う上で、その参照項として重要と考え、現在の教師志望者の出身階層等に焦点を当てて研究を行った。 具体的には、大学生における教師志望者の出身階層や、これまで享受してきた家庭教育の状況について、教師以外の就職希望者との相違を分析した。その成果について、日本教育社会学会第59回大会で口頭発表し、論文が『京都大学大学院教育学研究科紀要』第54号に掲載された。
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Research Products
(3 results)