2007 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子超伝導体二酸化コバルトナトリウム水和物のトポタキシー
Project/Area Number |
07J05834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 寛人 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 層状酸化物 / 核磁気共鳴 / 経時変化 / 異方的超伝導 / トポタキシー |
Research Abstract |
水二層NaxCoO2・yH2Oの合成後の高湿度中における経時変化を詳しく調べるために、臭素水を用いたこれまでと異なる方法で試料を合成した。得られた試料の経時変化を調べたところ、高湿度中での保持時間とともに超伝導性が一旦消失した後再び現れる現象を観測した。電子状態を59Co核四重極共鳴法により調べたところ、二つの超伝導は異なる電子状態に対応していることが分かった。また、再出現した方の超伝導相はこれまでに知られていた超伝導相と一致する一方で、初めに見られた超伝導相は全く新らしい相であることが分かった。経時変化に対する組成変化を調べるためにICP-AES測定とTG-DTA測定を行った。その結果、Na組成、H2O組成ともに大きな変化は見られなかった。しかし、本物質では結晶の外にNaイオンやH2O分子がしみ出している可能性が考えられ、化学的な分析では見積もりを謝る危険が考えられる。そこで我々は物理的な測定としてX線共鳴吸収によりCoイオンの平均価数を見積もった。その結果、Coイオンの価数はほぼ一定であった。従って、本物質の電子状態の変化は、価数の変化ではなく、CoO2面の厚みの変化に対応していることが分かった。また価数の値もNa組成から期待される+3.7価では無く、+3.3価に近い値であった。このことはNaイオン以外の陽イオンが電荷の補償をしていることをしめしている。陽イオンの候補としてオキソニウムイオンが考えられ、我々は1H NMRのスペクトルからその存在を確認している。母物質であるNaxCoO2ではCoイオンの価数が+3.3以下で磁気的な振る舞いが見られている。水二層体における超伝導もこの磁気的な揺らぎど関係している可能性が考えられる。
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Research Products
(6 results)