2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴法による光誘起ラジカルイオン対の液相-固相および界面の構造・動力学の解明
Project/Area Number |
07J06139
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石垣 麻子 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | xanthone / N,N-diethylaniline / time-resolved ESR / radical-ion pair / 分子軌道法 / magnetophotoselection / highly viscous solution / solvent molecule |
Research Abstract |
光化学反応の中間体として得られるラジカルイオン対(RIP)は、反応の方向性を示唆している。本研究の目的は、まず溶液サンプルで、RIPの構造を、実験的・理論的手法で解明することである。そこから、光化学反応の方向性を見出す。さらに、他の系においても同様のことが当てはまるか実験・考察し、化学反応初期段階における本質的な方向性の知見を得ることである。 実験には、時間分解ESR(tr-ESR)と過渡吸収検出装置を用いた。サンプルにxanthone(Xn)とN,N-diethylaniline(DEA)を用いた。溶媒はcyclohexanolなどで粘性を変化させた。Tr-ESR法では、高粘性としたことで、RIPのmagnetophotoselectionの観測に成功した。その結果、RIPは200-300nsの早い時間においてXnとDEAの平面構造を上下とするsandwich型構造とわかった。また、500-600nsの遅い時間ではRIPの副準位T_0からポピュレーションが抜けていることでわかった。過渡吸収法では、既にtr-ESR法で報告した、2-propanol溶液中のXnとDEAを測定した。結果、Xnの三重項と、XnアニオシとDEAカチオンの立ち上がりが観測できた。また、340mT下での磁場効果は約8%となり、一般的な均一溶液中よりも大きな効果であった。これはRIPが溶媒と分子集合体のようなものを形成していることが考えられる。以上から、化学反応の初期段階における分子挙動についての知見を得た。また、実験で得られたRIPの構造から、分子軌道計算を行うことでRIPのより具体的な構造を決定した。ただし、現段階では真空状態での計算のため、検討が必要である。 今後は、得られた結果から液相・固相での構造・動力学を考察し、溶媒を含めての具体的な形を示すために、分子軌道計算および分子動力学計算を行う。
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Research Products
(6 results)