2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット複合系における量子現象のダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
07J06711
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 朋廣 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ドット / 量子細線 / クーロン相互作用 / 高速パルス |
Research Abstract |
本研究は量子ドットと他の微細構造を結合させた系である量子ドット複合系における量子現象について実験的に明らかにすることを目的とし、特に従来の低速信号を用いた定常状態の伝導度測定に加えて、高速パルス技術を用いた伝導度測定により物理現象のダイナミクスを解明することを目指している。 本年度は、低速信号を用いた定常状態の伝導度測定、およびダイナミクス測定のための測定系の構築を行った。 まず、低速信号を用いた伝導度測定においては、量子ドットと量子細線の複合系(T結合型量子ドット)を用いてドット中のクーロン相互作用が電子の軌道占有に及ぼす影響を調べた。量子ドットの軌道エネルギーに対するクーロン相互作用の相対的な大きさを、ポテンシャルを通して人工的に操作するため、閉じ込めゲートの間隔が異なるT結合型量子ドットを作製した。そして、各量子ドットにおいて付加エネルギー分光やその磁場依存性を測定することにより、電子の軌道占有の様子を調べた。この結果、閉じ込めポテンシャルの変化に伴いクーロン相互作用が軌道占有の決定に支配的になり得ることが分かった。またこのメカニズムを利用することにより、単一のデバイスでゲート電圧の操作のみによって量子ドットの軌道占有状態を操作できることを示した。 ダイナミクス測定のための測定系の構築については、希釈冷凍機に室温部から高速信号を導入するため、GHz帯まで使用でき、かつ熱流入の少ないキュプロニッケル製の同軸ケーブルを取り付けた。そして、希釈冷凍機の運転を繰り返し行い、最低到達温度の評価およびケーブル接合部や熱アンカーの改善などを行った。また、高周波ラインの周波数特性を、量子ドットの伝導度のパルス応答を用いることによって評価し、パルス入力で50nsまで使用できることを確認した。
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Research Products
(6 results)