2007 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系の視点からとらえた地震発生モデルの統計的研究
Project/Area Number |
07J06738
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
蓮見 知弘 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地震 / spring-block model / q-exponential分布 / Weibull-Log Weibull転移 / 地震の発生間隔 / 複雑系 |
Research Abstract |
本研究では、いまだ発生メカニズムの詳細がわかっていない地震現象に対して新しい統計法則の提言を行うことを目的としている。本年度は、ばねとブロックをつないだspring-block model(BKモデル)の数値シミュレーションで発生させた仮想的な地震のデータと気象庁1元化地震データを確率・統計の知識を用いて分析する研究を行った。 まず、BKモデルで発生した地震データの発生時刻の時間間隔(inter-occurrence time)に注目すると、その確率密度分布は、モデルパラメータによって変化するものの、power lawで記述できる部分が存在する。そしてサバイバル分布は、ある限定的なパラメータの場合、気象庁の地震データの解析結果と同じq-exponential distributionと呼ばれる分布関数にしたがうことを示した。そして、そのときには、地震の規模を示すマグニチュードとその発生頻度に関する地震の性質、Gutenberg-Richterlawを再現することもわかった。また、複数の統計量の分布関数から系の臨界状態を推定する研究も行った。 次に、実際の地震のデータを使って、発生間隔(inter-occurrence time)の分布関数を下端のマグニチュードをコントロールパラメータとして解析を行った。その結果、inter-occurrencetimeがある時間間隔よりも長い場合のみの分布関数を考えると、マグニチュードの閾値を上げていくにつれて、Log Weibull分布からWeibull分布へと分布関数が変化する"Weibull-Log Weibull転移"が地震現象において確認することができた。この転移は、地殻の構造や地震の起こり方(発生の仕方)によらないため(日本でもアメリカで発生した地震でも成立する)、新しい地震の統計法則を見出したといえる。
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Research Products
(8 results)