2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本のフリースクールにおける道徳規範の生成と変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
07J07420
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森田 次朗 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 道徳規範 / フリースクール / 日常的実践 / 教育の公共性 / オルタナティブ教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は二つある。第一の目的は、日本社会におけるフリースクールが公立学校や教育委員会、心理カウンセラーといった外部社会との間で繰り広げる、子どもにとってのあるべき教育をめぐる主導権争いに焦点をあわせ、これらが相互にどのような道徳規範(教育理念)を構成しながら、主導権の獲得を目指し葛藤していくかを明らかにすることである。第二の目的は、こうしたフリースクールによる道徳規範をめぐる主導権争いの過程を、フリースクールの利用者自身が、日々の生活の中でいかに活用していくかについて考察することである。以上の研究目的を実施するため、平成20年度の研究計画では、1)これまで蓄積してきた調査結果の学術雑誌への論文投稿と、2)新たなフィールドワークの開始という2つの課題を設定した。1年間の研究内容を振り返った際、これら課題は達成されたといえる。以下、平成20年度の研究成果について説明する。第一に、学術雑誌への投稿については、これまで調査を継続してきた、教育委員会と連携するフリースクール(京都市南区)の教育活動や教育理念について分析し、社会学専門雑誌の『ソシオロジ』に投稿した結果、投稿論文として掲載された。第二に、新たなフィールドワークの展開としては、日本のフリースクールの特徴(民間教育施設)を精密に把握するため、フリースクール以外の教育活動との比較研究を行った。具体的には、地域住民参加型の公立学校である「コミュニティ・スクール」を比較対象として取り上げ、三重県南牟婁郡御浜町で現地調査を実施した。こうした調査結果については、日本社会学会で研究発表を行い、報告者たちとフリースクールにおける地域住民の参加可能性という観点から、意見交換を行った。同時に本比較調査の内容については、京都大学文学研究科GCOEプログラム主催の国際ワークショップにおいて研究報告を行い、その成果を英語論文としてまとめた。
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Research Products
(3 results)