2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 真 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メダカ / 温度適応 |
Research Abstract |
メダカは広温域性魚類で、日本国内に大きく分けて2つの地域集団、北および南日本集団が存在する。当該特別研究員らのグループは、最近、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の制御領域にみられる反復配列数がメダカ野生集団間で異なり、生息地域の年間最低気温と同反復数が強い相関を示すことを明らかにした。mtDNA制御領域は、mtDNAの複製およびmtDNAコード遺伝子の転写に関与する。そこで、この反復配列数の違いが低温でのミトコンドリア代謝に影響するかどうかを調べた。 まず、上記反復数が異なる、北および南日本集団からそれぞれ2および3集団、北および南日本集団の境界に位置するハイブリッド集団から1集団、計6つの野生集団の成体各4個体を5℃および25℃で3週間飼育後、背側骨格筋を採取した。採取した試料からDNAおよび全RNAを抽出し、核DNAにコードされるβ-actin遺伝子を内部標準として、mtDNAにコードされるCOI,ND1およびATP6遺伝子を対象に低温移行に伴う相対mtDNAおよびmRNA量の変化を定量的PCR解析により調べた。その結果、上記3遺伝子いずれも同様の結果が得られ、すなわち、相対mtDNA量は、南日本集団由来静岡集団およびハイブリッド集団由来網野集団で5℃へ移行後にそれぞれ約1.5および2倍の有意な増大がみられた。一方、相対mRNA量は、静岡集団で低温移行後に8倍以上と有意に増大したのに対し、南日本集団由来名護集団では有意な増大はみられず、その他の集団では、低温移行後に増大する傾向がみられた。これら低温での相対mtDNA量およびmRNA量変化ともに反復配列数との明確な相関はみられなかったが、これら変化パターンが集団間で大きく異なることが明らかとなった。地理的に隔離されたメダカ野生集団が特有の遺伝的形質を保有することが示され、今後これら特性を利用した詳細な解析が期待される。
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Research Products
(1 results)