2007 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子を用いた光応答性相互作用と超分子構造制御
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07J08700
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣瀬 崇至 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 自己組織化 / 両親媒性 / 下限臨界溶液温度(LCST) |
Research Abstract |
本年度は、水中における超分子構造体が持つ疎水空間中において形成される分子間水素結合が、光や熱などの外部刺激によって誘起される超分子環境変化に対してどのような影響を及ぼすのかという点に関して検討を行った。具体的には、両親媒性フォトクロミック化合物の親水性側鎖の根元にアミド結合を導入することで疎水空間における分子間水素結合の形成を試みた。 合成した両親媒性化合物の水溶液は加熱することで速やかに白濁状態に転移するといった、下限臨界溶液温度(LCST)を有する特徴的な熱応答性を示した。この臨界温度は光照射によって変化し、紫外光の照射に伴って徐々に低温側へとシフトした。アミド結合を持たない化合物に関しては開環体(470℃)及び、閉環体(41℃)水溶液の間でおよそ60℃の温度変化が認められたのに対して、アミド結合を導入した化合物に関しては、開環体(45℃)及び、閉環体(23℃)の間でおよそ22℃と非常に大きな光誘起のLCST変化が観測された。開環体水溶液のLCSTはアミド結合の有無でそれほど大きな変化が見られなかったのに対して、閉環体水溶液のLCSTはアミド結合を導入することで41℃から23℃へと非常に大きく低温側にシフトした。この結果は、超分子構造体中においてアミド結合による分子間水素結合の影響力が非常に良く似た構造を有する2つの異性体間で大きく異なっていることを示唆する非常に興味深いものであると考えられる。 今後は、水溶液中において形成される超分子構造体の詳細な観測や超分子構造形成に効果的な分子設計指針を追及し、外部刺激によって大きな超分子構造の変化が誘起される系に関してより深く検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)