2007 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳停止装置ストレスグラニュールの形成機構およびその生理機能の解明
Project/Area Number |
07J09076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤村 健 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞生物学 / 翻訳制御 / ストレス応答 / バイオイメージング / 細胞内構造体 |
Research Abstract |
本年度はこれまでTIA-1との結合が確認された2つのStress Granule(SG)の新規構成因子、CUGBP-1、PCBP2について、より詳細な解析をおこなった。 まずCUGBP-1について。CUGBP-1はI型筋ジストロフィーの原因遺伝子のひとつとされ、スプライシング、翻訳開始及びmRNAの分解の制御をおこなう極めて多機能なタンパク質である。今回、生細胞イメージングによりCUGBP-1がmRNAのprocessingを伴う多段階のストレス応答に関与する可能性を見出した。加えて、CUGBP-1の局在を制御することでその多機能性の司令塔的な役割を果たしているドメインを同定した。 PCBP2については、これまで翻訳の促進因子とされてきたこのタンパク質がSGのみならず細胞質中のmRNA分解装置(Processing body, P-body)に局在することを見出し、詳細な解析をおこなった。PCBP2はポリオ等のウイルスmRNAにみられる特殊な様式のタンパク質合成を促すことが知られており、ウイルス感染に伴う細胞のストレス応答に新しい展開をもたらすものと考えている。さらにPCBP2はストレスの有無に関わらず特定のP-bodyにのみ局在することを示した。これは、各々均質と考えられていたP-body(また細胞内構造体一般)の多様性を示唆する重要なデータである。 来年度は、上記の個々のタンパク質の解析から得られた知見に基づきSGやP-bodyといった細胞質中の構造体の形成過程を明らかにしたい。具体的には、核一細胞質間の輸送に注目しようと考えている。
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Research Products
(5 results)