2008 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳停止装置ストレスグラニュールの形成機構およびその生理機能の解明
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07J09076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤村 健 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレスグラニュール / プロセシングボディー / RNA顆粒 / バイオイメージング / 翻訳制御 |
Research Abstract |
本年度は、昨年までに同定した新規Stress Granule(SG)構成因子により得られた知見を活用し、SG形成機構についてイメージング技術を用いて解析した。time courseをとってSG形成の誘導をおこなったところ、SGの形成過程は2段階に分けられることが判明した。第一段階では、ストレス応答の開始と共に、細胞質に局在するSG構成因子が局所的に集積し、SG構成因子間の相互作用の増大によりSGの前駆体となる凝集体を形成する。第二段階においては、微小管を利用してこの凝集体が細胞質内の適切な位置に運ばれる。非常に興味深いことに、核内に局在するSG構成因子はこの段階で核からSGにrecruitされ、しかもその細胞質への移行は微小管依存的である。これらの結果から、SG形成はストレス応答、タンパク質の凝集、また細胞骨格による輸送/核から細胞質への移行が協奏的に働くことで実現すると考えられる。また、SG以外に翻訳抑制の場として知られるP-bodyに局在することがわかったPCBP2についても解析を進めた。平常の生理条件下で、P-bodyの代表的なマーカータンパク質であるDcp1aと二重に免疫染色をおこなったところ、PCBP2は約40%のP-bodyにしか局在しないことがわかった。このようなPCBP2の"選択的な"P-bodyへの局在を詳しく調べたところ、1)PCBP2はより多く翻訳抑制されたmRNAを蓄積した大型のP-bodyに局在する傾向が強いものの、大きいP-bodyに必ず局在するわけではない、2)特定のP-body内で静止しているのではなく、その局在の仕方はきわめてダイナミックである、3)P-bodyへの局在には、新生mRNAとの核内での結合は必要ない、ことなどがわかった。PCBP2をknockdownしてもP-bodyに影響がないこと、PCBP2が大型のP-bodyに局在することを考え合わせると、PCBP2はP-body形成の後半段階でrecruitされ、その選択的な局在は初期段階でのP-body構成因子の多様性を反映すると思われる。また、PCBP2が翻訳を促す機能を持つことを考慮すればPCBP2が局在することで、特定のP-bodyにmRNAの翻訳抑制を解除しタンパク質合成を再開させる働きを与えることも考えられる。
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Research Products
(3 results)