2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本教育成立過程における視覚教育メディアの生成・展開・受容に関する研究
Project/Area Number |
07J09274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古屋 貴子 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教育メディア / 文化史 / 明治期 |
Research Abstract |
19年度は、視覚教育メディアの「生成」「展開」に関ずる調査・分析を計画していたため、基礎的な資料の所蔵調査の目的から、京都市学校歴史博物館や、新潟県柏崎市の藍民芸館などを中心に、教育錦絵・幻燈資料の調査をおこなった。 同時に、社会教育史、錦絵史、文化史関連の文献の収集と読み込みをおこない、19年度には教育史学会にて「遊びと学びのメディア史-明治期の教育双六における「上り」の思想を中心に-」とのタイトルのもと、口頭発表をおこなった。この発表では、明治期に子どもの娯楽として親しまれていた双六遊びのなかから教育双六を取り上げ、描かれた図像の分析とともに、「振り出し」から「上り」へと向かう双六のルールに着目し、「遊び」に組み込まれた当時の教育的価値を読み解くことを試みた。 また、以前に調査・分析していた文部省発行の教育錦絵については、「明治前期の道徳教育メディアにみる学校と社会-教育錦絵・学校用修身教材・教育幻灯の比較分析-」としてまとめ、『生涯学習・社会教育研究促進機構』第一号に投稿した。この論文では、明治前期に学校内外で用いられていた道徳教材について概観し、どのような教育メディアが選択されていたのかを確認するとともに、具体的に道徳教材に描かれていた内容の図像分析を通じて、どのような教育的価値が伝達されようとしていたのか、「おとな」「こども」「教師」「生徒」といった教育をめぐる関係性がどのように絵画化されているのかを読み解くことを試みた。教育史においてこれまで図像そのものを教育資料に用いられること自体が少なく、研究の蓄積も浅いため、以上の研究業績は資料分析の方法論の点から、また、図像史における教育の位置づけを確認する点からも意義のあることだと考えている。
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Research Products
(2 results)