2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09377
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横田 巧 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リッチ流 |
Research Abstract |
リッチ流方程式の解の挙動をより良く理解するという当初の研究目的に沿って研究を行っている。リッチ流は今後もリーマン幾何学における強力な道具であり続けると期待される。そのために本年度は研究実施計画に合わせ、リッチ流の下でのリーマン幾何学的不変量の振る舞いを調べた。特に従来の解析的な手法では困難な部分に、幾何的な手法でアプローチすることを考えた。 その成果として、有界非負リッチ曲率を持つ一般次元完備リッチ流のもとで、その漸近体積商が時刻によらず一定であることを示すことが出来た。これはハミルトンらによって得られていた結果を拡張したものである。証明はグロモフのプレコンパクト性定理とチーガー・コールディングの体積連続性定理という、従来にない幾何学的な手法により得られた。同様の議論により、有界非負曲率の仮定の下では、リッチ流は非コンパクト多様体の無限遠点での様子を変えないことが分かる。 また前年度に得られていた、「全曲率が存在して有限なリーマン計量を初期値に持つ曲面上の完備曲率有界リッチ流の下で、全曲率および全絶対曲率はそれぞれ一定および単調非増加である」という結果の証明を整理した。証明では塩濱の全曲率の表現公式を用いて、全曲率の代わりに漸近的面積商の振る舞いをみることに帰着させた。この結果はリッチ流による非コンパクト曲面の一意化など、2次元のリッチ流の更なる理解への手がかりとなると期待される。これらの結果を合わせて論文として投稿し、査読の後、受理された。
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Research Products
(3 results)