2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J09377
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横田 巧 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リッチ流 |
Research Abstract |
本年度は主に一般次元のリッチ流の古代解について研究した。リッチ流の古代解とは過去に無限時間存在するリッチ流方程式の解のことである。古代解の理解はリッチ流の特異点解析において重要である。特に幾何学的な方面からアプローチするため、注目したのはPerelmanによって発見された簡約体積という量である。簡約体積はリッチ流に対して定義される量で、時刻に関して単調非減少であることが示されている。この単調性から古代解に対してその極限値が考えられ、その値を漸近簡約体積と名付けた。漸近簡約体積は古代解の重要な情報を含んでいると期待される。 まず始めに、漸近簡約体積がガウシアンソリトンの値に十分近いリッチ流の古代解はガウスソリトンである、というリッチ流のギャップ定理を示した。この結果はリッチ曲率平坦リーマン多様体をリッチ流の停留点という特別な場合とみなすと、先のAndersonの結果を拡張していることが分かる。またこのギャップ定理を縮小リッチソリトンに適用することで、最近のCarrillo-Niの予想を肯定的に解決することが出来た。同時に、簡約体積の単調性はある仮定の下、超リッチ流にも拡張されることにも気付いた。これらの結果は論文にまとめ、Communication in Analysis and Geometryに投稿し受理された。 続いて、Ecker-Ilmanen-Ni-Toppingによって発見された別の単調な量と、その簡約体積との関係について調べた。そしてリッチ流の古代解に対して、その漸近極限は漸近簡約体積に等しいことが証明された。この結果は現在論文として投稿準備中である。
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Research Products
(8 results)