2007 Fiscal Year Annual Research Report
青年期の高機能広汎性発達障害者における自己理解-心理劇的ロールプレイングを通して
Project/Area Number |
07J09400
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝吉 美知香 Tohoku University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 自己理解 / 心理劇的ロールプレイング / 青年期 / 思春期 |
Research Abstract |
交付申請書「研究の目的」における目的(1)「青年期の高機能広汎性発達障害者における自己理解の特徴を明らかにすること」に関しては,その第一段階としてベースとなる自己理解調査を行った。定型発達の中学生および高校生を対象にアンケート用紙を配布し,自己理解を問う質問への回答を求めた。得られた回答を全てデータ化し,思春期・青年期の自己理解を体系的にとらえる目的で本研究独自に開発した自己理解分類モデルに基づき分類することによって,中高生の自己理解における発達的特徴が見出され,それらについて現代の学校教育や社会的背景との関連から考察を行った(特定論文Iとして発表)。 目的(2)「高機能広汎性発達障害者の自己理解の発展を支援する方法として心理劇的ロールプレイングの効用を明らかにすること」に関しては,約4年にわたり心理劇的ロールプレイングを継続的に施行してきた集団への参加者(中高生の広汎性発達障害者)7名を対象としてその自己理解の変化を検討した。心理劇的ロールプレイング施行前・施行途中・施行後,計3回実施された自己理解質問への回答内容を,自己理解分類モデルに基づき比較・検討することにより,変化の特徴を明らかにした(発達心理学会第18回大会ポスター発表)。また,参加者のなかの1名を事例としてとりあげ,心理劇的ロールプレイングにおいてみられた自己理解の変容過程について詳細に検討を行った(日本心理臨床学会第26回大会口頭発表)。 以上の成果を基盤とし,今後,高機能広汎性発達障害者の自己理解について,定型発達との比較および心理劇的ロールプレイングの効用の視点から,その特徴ならびに発達的変容を明らかにしたうえで,彼らに対する心理臨床的支援の構築へとつなげる。
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Research Products
(8 results)