2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規グルタミン酸アンタゴニストの開発を指向したカイトセファリンの効率的全合成
Project/Area Number |
07J10080
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
濱田 まこと Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カイトセファリン / イオンチャンネル型グルタミン酸受容体 / アンタゴニスト / 効率的全合成 |
Research Abstract |
カイトセファリンは天然より初めて見出されたイオンチャンネル型グルタミン酸受容体(iGluRs)アンタゴニストである。高活性・低毒性であることから脳保護薬のリード化合物として注目され、詳細な薬理学的挙動の解明が望まれているが、菌体培養による供給が困難であるため、化学合成による量的供給を待つ状態にある。我々はこれまでにカイトセファリンの全合成を報告しているが、その量的供給には課題が残されていた。また、iGluRsサブタイプ選択的アゴニスト、ダイシハーベインとカイトセファリン鏡像体に構造的類似性を見出し、カイトセファリン鏡像体にサブタイプ選択性が期待できると考えた。そこで、(1)カイトセファリンの効率的合成経路の確立及び(2)カイトセファリン鏡像体を含む各種類縁体の合成および活性評価に向けて研究を開始した。 (1)我々は前年度までにZ-8,9-デヒドロカイトセファリン保護体の合成に成功している。本化合物の不斉水素化は、触媒の立体化学に関係なく望まない9R体を与えた。そこで、安藤法を基盤とした新規E-デヒドロアミノ酸合成法を確立し、これを用いてE-8,9-デヒドロカイトセファリン保護体を合成した。E-デヒドロ体の水素化は望む9S体を高立体選択的に与えた。保護基を塩化アルミニウム・ジメチルスルフィドにより一挙に除去しカイトセファリンを得た。最終生成物に至る全工程においてグラムスケールでの再現性を確認し、これにより、既知物より12段階・全収率6.97%と報告例中最も効率的なカイトセファリンの合成経路が確立された。(2)カイトセファリン鏡像体は結合阻害活性試験によりNMDA受容体に選択的に結合することが明らかになった。現在、その他類縁体について順次活性評価を行っている。
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Research Products
(3 results)