2007 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性神経細胞の誕生領域に特異的な挙動を制御するメカニズムの解析
Project/Area Number |
07J11301
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金谷 繁明 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 尾側基底核原基 / 抑制性神経細胞 / 細胞移動 / 局所的遺伝子導入法 / Caudal migratory stream |
Research Abstract |
大脳発生期の尾側基底核原基(CGE)にて誕生する抑制性神経細胞は、尾側へ向かう領域特異的な移動様式CMS(Caudal migratory stream)を示す。我々はCMSがCGE特異的に観察される事から、CMSがCGE特異的に発現する遺伝子により制御されているのではないかと考え、CGEに特異的に発現する分子を探索した結果、CGES1がほぼCGE特異的に発現していることを見出した。本年度の研究はCGES1がCMSを制御しているかどうかの検証を行った。 最初に我々はE13.5のマウス脳にてCGES1をsiRNAにて抑制することによって、CGES1がCMSの制御に必要かどうかを検証した。局所的遺伝子導入法と旋回培養を組み合わせた技術を使用することにより、CGES1を抑制した状態では有意に尾側へ向かう移動が抑制されたことを観察した。次に我々はCMSが見られない領域、内側基底核原基(MGE)にCGES1を強制発現させた後CGEへ移植をすることにより、CGES1がCMSを誘導することが出来るかどうかを検討した。MGEの細胞はCGE内では尾側へ移動をしないのに対して、CGES1を強制させたMGEの細胞は有意に尾側へと向きを変えることが明らかとなった。さらに大脳皮質においてCGE由来の細胞が多いと考えられているCalretininを発現する細胞のグループの一つがCGES1を発現することから、CGES1が尾側基底核原基から大脳皮質へ向かう細胞移動を制御していることが示された。CGEを由来とする抑制性神経細胞は大脳皮質・海馬・扁桃体などへ移動することが知られており、移動の向きを制御する分子CGES1はこれら領域の発達に大きな役割を果たしていることが予想される。
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Research Products
(3 results)