1996 Fiscal Year Annual Research Report
抗セントロメア抗体陽性患者における70kD熱ショック蛋白に対する自己抗体の研究
Project/Area Number |
08877085
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
坪井 紀興 東京医科大学, 医学部, 講師 (10256240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 博文 東京医科大学, 医学部, 助手 (10287146)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / 自己抗体 / 抗セントロメア抗体 |
Research Abstract |
目的:70kD熱ショック蛋白(70kD heat shock protein;hsp70)に対する自己抗体の病的意義は不明である.最近私共は様々な基礎疾患をもつ抗セントロメア抗体陽性患者に血清中の抗hsp70抗体が高率に見出されることに気付いた.hsp70とセントロメアという一見無関係に思われる自己抗原に対する自己抗体が多くの患者に何故同時に出現しているかを知るため,その臨床的意義を明らかにし,さらに対応抗原の解析から自己免疫疾患の病因解明のための新たな研究手段が得る.方法:1)血清中抗セントロメア抗体の同定.当科外来通院中の患者血清を用いて、同調培養した分裂期HEp-2細胞を用いてイムノグロブリンサブクラス別に間接蛍光抗体(IF)法上の抗セントロメア抗体を同定.2)血清中抗hsp70抗体の同定.培養HeLa細胞よりATPアフィニティクロマトグラフィーを用いてヒトhsp70を精製.これを抗原としてイムノグロブリンサブクラス別にイムノブロッティング法にて抗hsp70抗体を検出しさらに抗hsp72抗体,抗hsp73抗体を同定.結果:抗セントロメア抗体陽性患者における抗hsp70lgG抗体陽性率は15/40(37.5%)と高率であった。抗hsp70lgG抗体の内訳は抗hsp72抗体,抗hsp73抗体の両者陽性が7名,抗hsp70抗体単独陽性が4名,抗hsp73抗体単独陽性が4名であった.抗セントロメア抗体陽性患者の臨床背景は様々であるが,hsp70が自己抗原として病的役割を果たしている可能性が示唆された.現在hsp70とCENP-A、hsp70とCENP-B、hsp70とCENP-Cに対する自己抗体を持つ患者群の同定,さらに患者末梢血B細胞よりのこれら自己抗原に対するモノクローナル抗体の樹立をおこなっている.
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