2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質の生体膜上での挙動解析に関する計算技法の開発
Project/Area Number |
08F08453
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 忠次 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU XinLi 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 脂質二重膜 / 膜タンパク質 / 計算予測 / 分子動力学計算 / 生体情報伝達 / 医薬品開発 / 構造変化 / ソフトウェア開発 |
Research Abstract |
薬の標的となる受容体タンパク質の多くは、生体膜に結合あるいは包摂されて存在している。従って、受容体タンパク質の機能解析を理論計算により実行するには、生体膜も含んで、モデル化し、理論計算を実行する必要がある。本研究では、脂質二重膜とタンパク質分子ならびに薬物分子の相互作用に関して、脂質膜を含んだモデル計算による解析を行っている。本年度は、Gタンパク質共役型受容体と生体膜との相互作用解析を行った。 Gタンパク質共役型受容体は、生体膜に貫通して存在し、生体の情報伝達に関与するため、医薬品の格好の標的分子である。本研究では、Gタンパク質共役型受容体の薬物との相互作用に基づく構造変化を詳細に解析し、医薬薬によりGタンパク質共役型受容体がどのような応答をするのかを分子シミュレーションにより明らかにする。本研究の特徴として、複数種類の脂質膜の混在する生体膜のモデルを作成し、このモデル生体膜中にGタンパク質共役型受容体が貫通して埋め込まれた計算モデルによって、Gタンパク質の構造変位がどのように起こるのかを計算機シミュレーションした。生体膜として、POPCのみ、POPCにコレステロールを含んだもの、これにさらにGM1ガングリオシド分子を含んだものの3種類を用意した。3種類の膜にGタンパク質共役型受容体を埋め込んで、分子動力学シミュレーションを100nsec実行した。 POPCのみの膜では、膜流動性が小さく、タンパク質の可塑性が制限されている結果が得られた。これに対して、適切な割合でコレステロールを含んだ膜ではタンパク質の可塑性が改善した。Gタンパク質共役型受容体は、薬物等が吸着することにより、構造変化が起こり、これを生体情報として伝達する役目を持っている。混在膜のシミュレーションにより、初めて正確な構造追跡が可能となった。
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Research Products
(1 results)