2009 Fiscal Year Annual Research Report
CD8陽性制御性T細胞を利用した炎症性腸疾患治療へのアプローチ
Project/Area Number |
08F08460
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ENDHARTI Agustina Tri 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 制御性T細胞 / 炎症性腸疾患 / CD8陽性 / モデルマウス / T細胞養子移入 |
Research Abstract |
リンパ球を欠損するRAG-2ノックアウトマウスに、正常マウスから採取したCD4^+CD45RB^+細胞を輸注することによって腸炎を誘導した。CD4^+CD45RB^+細胞のみを移入したマウスでは、腸炎が起こり体重減少が見られ、腸管の粘膜下への炎症性細胞の浸潤も著しかった。これに対し、CD4^+CD45RB^+細胞に加えてやはり正常マウスから採取したCD8^+CD122^+細胞を混ぜて移入すると、腸炎の発症は全く起こらなくなり、マウスの体重も順調に増加した。これは、CD8^+CD122^+制御性T細胞が腸炎を引き起こすCD4^+CD45RB^+細胞の活動を見事に抑制したためと考えられる。 また、IL-10ノックアウトマウスから採取したCD8^+CD122^+制御性T細胞は腸炎を抑制する力が弱く、同制御性細胞の働きに抑制性のサイトカインであるIL-10が大事であることがわかった。 さらに、CD4^+CD45RB^+細胞を移入してから4週間後には既に腸炎の発症が始まっているが、この時期にCD8^+CD122^+細胞を移入した場合でも腸炎は次第に治まっていき、一旦減少しかけたマウスの体重もまた順調に増加するように転じた。この実験結果から、CD8^+CD122^+細胞は炎症性腸疾患の予防のみならず、既に発症した腸炎の治療に対しても効果があることが示された。 CD4^+CD45RB^+細胞はCD4^+CD25^+制御性T細胞を含まないため、CD4^+CD45RB^+細胞のみが存在する状況では正しく制御されずに腸炎を引き起こす。CD4^+CD25^+制御性T細胞の移入でもCD8^+CD122^+制御性T細胞の移入でもそれぞれ単独での制御効果は発揮されるが、両方の制御性T細胞を混ぜて移入した場合の腸炎を抑える効果は絶大であり、CD4^+CD25^+制御性T細胞とCD8^+CD122^+制御性T細胞の協調効果が認められた。
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Research Products
(5 results)