2008 Fiscal Year Annual Research Report
二ホウ化マグネシウム超伝導線材における有機物添加効果に関する研究
Project/Area Number |
08F08613
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
熊倉 浩明 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, センター長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM Jung Ho 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ニホウ化マグネシウム / パウダー・イン・チューブ法 / 不純物添加 / リンゴ酸 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
MgB_2は金属系超伝導体であるにも関わらず39Kの高い超伝導転移温度を有するため、世界的に線材化研究が急ピッチで進められている。しかしながら現在のMgB_2線材は、実用上最も重要な臨界電流密度が十分でない、という難点があり、これを克服するために芳香族炭化水素等の有機物を原料粉末に添加する研究が行われている。しかしながら、均一に添加するのが難しく、得られる線材において超伝導特性のバラツキが大きくなるという問題点がある。そこで本研究では、パウダー・イン・チューブ法によるMgB_2/Feテープ作製において、化学溶液法による炭素化合物添加を実施した。まず、固体の炭水化物を有機溶媒(トルエン)に溶かしこんで溶液を作成し、これにホウ素原料粉末を加えて懸濁液とする。炭水化物としては、リンゴ酸(C_4H_6O_5)を用いた。この懸濁液を低温で加熱して有機溶媒を蒸発させてボロン粉末粒子の表面をリンゴ酸でコートした。次に、このボロン粉末をマグネシウム粉末と化学量論組成比で乳鉢を用いて十分に混合し、内径4mm、外径6mmの鉄管に充填した。これを溝圧延ロールやダイス線引き等で径1mm程度の線材に機械加工した後に、アルゴン雰囲気中で熱処理をしてMgB_2線材を作製した。熱処理温度は600-800℃と種々に変化させた。この熱処理により、炭水化物が分解してカーボンが遊離するとともに、MgとBが反応してMgB_2が生成されるが、MgB_2が生成する際に、この遊離したカーボンがMgB_2のボロンサイトと一部置き換わってMgB_<2-x>C_xが生成したと考えられる。次に臨界電流を4.2K、種々の磁界中で測定したところ、600℃の低い熱処理温度で高い臨界電流密度の得られることがわかった。また、臨界電流密度のバラツキも通常の芳香族炭化水素添加の場合よりも小さいことがわかった。
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Research Products
(1 results)