2008 Fiscal Year Annual Research Report
カゴ状構造における充填イオン運動が関与する電子相関特性の研究
Project/Area Number |
08F08728
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩佐 和晃 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAULHE C.D 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 電子-格子相互作用 / p-f混成 / フォノン / 中性子散乱 / X線散乱 |
Research Abstract |
強相関電子系物質では、集団としての電子の状態がその自由度であるスピン・軌道・電荷の多体相互作用によって支配され、それらの複合的な変化のために多彩な相転移を示すという特徴がある。さらに、物質を構成するイオンの振動が電子状態に影響を及ぼす自由度となりうることもよく知られている。特に、最近注目されているカゴ状の骨格格子を持つ中に充填されたイオンの巨大な振幅での振動が新しい電子状態をもたらすものと期待されている。H20年度において以下の成果を得た。 硼素の共有結合ネットワークにGdイオンが充填された構造を持つと見られるGdB_6において、結晶構造相転移を伴う磁気秩序相転移以上の温度で、その構造の周期に対応するフォノンのエネルギーが他のRB_6に比べて極めて低く、低温でソフト化することを見出していたが、さらにその結果として顕著なX線散漫散乱が存在することを明らかにした(2009年3月の物性研での研究会で報告)。一方、CeB_6では明らかなソフト化は見られないことを確認し、GdB_6は特有の格子不安定性を持つと言える。 PrRu_4P_<12>における金属-非金属転移をRh置換により抑制したとき、X線回折で観測される超格子結晶構造が有限温度領域でのみ現れることを見出した。Pケージ中にあるPrイオンの4f電子高次多極子が有限になって反強的に配列するために、熱励起された状態が異なるPrサイトを必要とすることと解釈でき、格子変位を伴う多極子秩序の新しい性質を明らかにした(2009年3月の日本物理学会で報告)。
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Research Products
(7 results)