2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙赤外線背景放射のロケット観測による第一世代天体の観測的研究
Project/Area Number |
08J00034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津村 耕司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 赤外線天文学 / 観測的宇宙論 / 宇宙赤外線背景放射 / 第一世代天体 / 宇宙の暗黒時代 / ロケット観測 |
Research Abstract |
私は日米韓の国際協力の下、宇宙近赤外線背景放射(CIB)観測の為のロケット観測プロジェクトCosmic Infrared Background Experiment(CIBER)の準備を進めてきた。CIBには銀河や星などの既知の天体からの寄与だけでは説明できない超過成分が存在し、宇宙誕生直後の第一世代天体の寄与が示唆されている。CIBERでは、液体窒素で冷却された4本の専用望遠鏡をロケットに搭載し、大気圏外からCIBの絶対スペクトルや空間的ゆらぎを観測し、初期宇宙における星形成の様子を明らかにすることを目指している。これが成功すれば、第一世代天体からの光を世界で始めて検出することになる。 CIBERの観測装置を搭載したロケットはアメリカから打ち上げられるため、私は本年度のほとんどをアメリカ合衆国のカリフォルニア工科大学やNASAホワイトサンズ打ち上げ場で研究活動を行った。当初、打ち上げは2008年7月末と予定されていた。それに向け、私はカリフォルニア工科大学にて現地の研究者達と協力しながら、観測装置の性能評価実験やキャリブレーションなどを行い、打ち上げに備えていた。しかし、打ち上げ直前に装置の不具合が発生し、打ち上げを2009年2月に延期した。その間、不具合が発生した箇所の改善に加え、観測精度をより高めるためのいくつかの改良や再キャリブレーション、追加の性能評価実験などを実施した。最終的に、CIBERの観測装置を搭載したロケットは、2009年2月25日午前3時45分(アメリカ中部標準時間)に、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のNASAホワイトサンズ打ち上げ場から打ち上げられた。ロケットは最高高度330kmに達し、全ての観測装置は正常に機能し、425秒間にわたって良好なデータを得ることに成功した。観測終了後、観測装置はパラシュートにより地上に帰還し、無事に回収された。
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Research Products
(1 results)