Research Abstract |
本研究の目的は,生活習慣介入による体重減少量の予測因子を,行動的要因と生物学的要因などから検討し,個人に適した効果的な減量プログラム開発のための有益な知見を見出すことである.特に遺伝子多型に着目し,肥満関連遺伝子の多型情報が減量介入プログラムに利用できるかについて検討する. 現在までに得られた研究成果は以下の通りである. 1)減量を目的とした食事制限を伴う生活習慣介入を施した場合,日常の身体活動(生活活動)量が多い者は少ない者より体重減少量が大きくなることが示唆された.加速度計による身体活動量の評価は,体重減少量の予測に有用となる可能性がある.食事摂取量に関しては,食事制限を厳しくすれば体重減少量が大きくなるものではない可能性が考えられる一方で,基準法とされる秤量法を用いても,3日程度に限った調査であれば,食事摂取量を体重減少量の予測に用いることには限界があることが示唆された. 2)監視型の生活習慣介入を施した場合,第2水準(性格特性)の自己効力感が高い者は低い者より体重減少量が小さくなることが示唆された.一般性セルフエフィカシー尺度(坂野ら,1986)の評価は,体重減少量の重要な予測因子となる可能性が示された. 3)体格は,体重減少量を予測するうえで考慮すべき因子であることが示された. 4)PPARG遺伝子のSNP情報(rs1175544)が,生活習慣介入による体重減少量の個体差の一部を説明することが示された. 5)FTO遺伝子とINSIG2遺伝子が肥満と関与することが明らかとなった. 1),3),5)については,原著論文として報告済み,2),4)については,現在,投稿中である.
|