2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 吉廣 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低次元磁性体 / 低温合成法 / 1 / 3磁化プラトー / 無限層構造 / 鉄酸化物 |
Research Abstract |
正方格子(CuBr)Sr2Nb3O10で観測された1/3磁化プラトーについては幾つかの理論的考察がなされているにも関わらず、まだその起源については明らかにされていない。申請者はプラトーの起源についてさらなる洞察を得るために、一連のCuBr物質,(CuBr)A2B3O10(A=Ca,Sr,Ba,Pb;B=Nb,Ta)の合成を行なった。磁化測定を行なったところ、Aサイトだけでなく、Bサイトにもプラトーの安定性が依存することがわかった。これは、Brを介した超交換相互作用だけでなく、非磁性を構成しているBサイトイオンを介したそれも重要であることを示している。興味深いことに、プラトーを示す物質には逐次相転移が観測され、Brサイトの秩序化がプラトーの起源に関わっていることを示唆する結果も得た。単結晶を用いた今後の実験によって、プラトーの起源についてより明らかになると考えられる。申請者は、低温固相還元反応によって平面4配位をもつ無限層鉄酸化物SrFeO2の合成に成功したが、今回、鉄が平面4配位をもち、かつ二本脚構造をもつSr3Fe2O5の合成に成功した。次元が下がったことによる磁気秩序温度の低下を示す。この梯子物質の合成は、異なる本数をもつ梯子物質が得られる可能性を示唆しており、これらをS=1/2のCu系梯子物質と比較することによって梯子系のスピン依存性を明らかにできると考えられる。また、SrFeO2と同じ無限層構造をとると考えれていたCaFeO2は、平面4配位から四面体へ若干変位し、さらに各々の四面体がc軸の周りに回転した構造をとっていることがあきちかになった。
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Research Products
(4 results)