2008 Fiscal Year Annual Research Report
脱皮ホルモンEcdysteroidによるマダニの卵形成機構の解明
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08J00181
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀金 麻理 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エクジステロイド / ヴィテロジェニン / マダニ / 卵黄形成 / Ecdysteroid初期遺伝子 / Ecdysteroid receptor / Retinoid X receptor |
Research Abstract |
吸血性のマダニは吸血によって成長や産卵を行う。しかし、吸血の際宿主に様々な病気を媒介するため、畜産、医療分野において警戒されている。マダニの産卵には吸血が必要不可欠であり、吸血した雌体内では卵形成が行われる。一般に節足動物の卵形成はホルモンによって制御され、卵黄タンパク質(Vg)合成もホルモンの制御下にある。マダニのVg合成は脱皮ホルモンEcdysteroid(E)によって制御されると考えらる。そこで、Vg遺伝子の転写制御系を明らかにすることを目的に研究を行った。 平成20年度の研究において、マダニのVg遺伝子のcDNA全長配列及びその上流配列を決定した。Vg遺伝子のmRNA発現は吸血によって誘導され、交尾・未交尾雌間で大きく異なっていた。Vgの発現は脂肪体及び中腸で見られた。Vg遺伝子の同定及び発現解析については、現在投稿論文に向けて準備中である。Vg遺伝子の転写制御はE及び2つの核内レセプター(EcR、RXR)によって制御されると考えられており、マダニにおいては吸血するとEcR、RXRの発現量が上昇することが既に明らかになっている。また、吸血後の交尾雌のみで体液中のE濃度が上昇することも知られている。本研究において、Vgの発現は両レセプターの発現直後から開始したことから、マダニのVg発現はE、EcR、RXRによって制御されると考えられ、E濃度が高い交尾雌のみが必要レベルのVg発現が誘導され、正常な産卵が起こると考えられる。また、Vg転写制御に関わると考えられるE74、Broad Complex(BRC)についての配列決定も試み、各因子に含まれる機能ドメインの配列を決定した。今後は全長の同定を行い、詳しい発現解析を行う予定である。
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Research Products
(5 results)