2009 Fiscal Year Annual Research Report
キラル発光性錯体分子集合体の創製および複合物性の制御とスイッチング
Project/Area Number |
08J00259
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 素志 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ルテニウム(II)イオン / オスミウム(II)イオン / 含硫配位子 / 連結異性化 / キラリティー |
Research Abstract |
キラル発光性錯体集合体の構築を目的として、含硫アミノ酸の1つであるD-ペニシラミン(D-H_2pen)が配位したRuユニット[Ru^<II>(D-Hpen-O,S(bpy)_2]^+がAg^Iイオンにより連結されたRuAgRu三核錯体([Ag^I{Ru^<II>(D-Hpen-O,S)(bpy)_2}_2]^<3+>)およびその誘導体を合成してきた。(bpy=bipyridine)これまでにこれらの錯体の光学活性体の単離にも成功している。今年度は、これまでに合成したRu錯体の発光性の検討を行った。また、新たに発光性金属として、Ruと同族元素であるOsを用いて対応する錯体の合成を検討した。 1、これまでに得られているキラルRu錯体の発光測定を行った。その結果、いずれも室温溶液中で発光性を示すことが分かった。また、D-Hpenの配位に関与しないアミノ基がプロトン付加することにより、発光極大波長が短波長シフトすることを明らかにした。以上より、Ru錯体は、酸・塩基性条件下においてその発光挙動が大きく変化することを明らかにした。 2、[OsCl_2(bpy)_2]と2-アミノエタンチオール(Haet)との反応から、2種類の新規スルフィナト錯体を合成した。各種分光学測定および単結晶X線構造解析により、1つは、スルフィナト配位子(aesi=aetsulfinato)がOs^<II>イオンにN,Sキレート配位した[Os^<II>(aesi)(bpy)_2]^+であり、もう一方は、2つのHaesiがS単座でOs^<II>イオンに配位した[Os^<II>(Haesi)_2(bpy)_2]^<2+>であることが分かった。また、これらの錯体は発光性を示し、両者の発光極大波長は大きく異なる(約100nm)ことを明らかにした。なお、対応するRu錯体を出発化合物とした場合には、1種類のスルフィナト単核錯体[Ru^<II>(Haesi)_2(bpy)_2]^<2+>のみが得られている。以上より、チオール配位子のOs^<II>イオンへの配位挙動は、Ru^<II>イオンのものと大きく異なるという興味深い知見を得た。
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Research Products
(2 results)