2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00293
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山名 俊介 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 池田リフティング / アーサー予想 / 四元数体 / 退化主系列表現 / テータ函数 / ヴェイユ表現 / アイゼンシュタイン級数 / ジーゲル・ヴェイユ公式 |
Research Abstract |
筆者は当該年度に以下の3つの研究を遂行した。 1.ハミルトン四元数体上のエルミート形式と歪エルミート形式のユニタリ群について、ジーゲル放物型部分群の一次元表現の誘導表現の可約点での加群構造を決定し、その既約成分とテータリフトの間の関係を明らかにした。この研究は、四元数型のテータダイコトミーやジーゲル・ヴェイユ公式などに応用が見込まれる。 2.筆者により池田リフトと類似の方法で構成された四元数上半空間のリフトに関して、そのA-パラメータを決定し、それが簡約群の離散スペクトラムに関するアーサーの予想に符合することを証明した。この結果は、準分裂でない簡約群の場合のアーサー予想の具体例として価値があると思われる。 3.ジーゲル・ヴェイユ公式とは、アイゼンシュタイン級数の特殊値とテータ積分の間の等式であり、アイゼンシュタイン級数が絶対収束する仮定の下にヴェイユにより一般の簡約対に対して証明された。筆者は、この等式がアイゼンシュタイン級数の特殊値がユニタリ軸の左側にある場合に一般的に成り立つことを証明した。これはクドラとラリスらによるジーゲル・ヴェイユ公式の拡張を一般化することに加えて、証明の簡易化も与える。筆者はこの際、ヴェイユ表現から構成される標準切断に付随するアイゼンシュタイン級数の解析接続が問題の点で正則であり、退化型式を与えることも証明している。これらの結果は、ほとんど全ての古典群に対して証明され、二次形式やテータ対応の理論、L函数の特殊値などの問題に様々な応用が見込まれる。
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Research Products
(4 results)