2008 Fiscal Year Annual Research Report
花粉粒の直接遺伝解析法を用いた虫媒植物の送受粉過程解析
Project/Area Number |
08J00913
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松木 悠 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 花粉粒の直接遺伝解析 / 花粉流動 / 送受粉 / 虫媒植物 / 分子生態学 / マイクロサテライト |
Research Abstract |
研究対象としている2種の森林性樹木について、それぞれ野外調査と遺伝解析を行った。 1.ホオノキについては、調査地を踏査し、採集した繁殖個体約260個体の葉サンプルからDNAを抽出し、マイクロサテライト9遺伝子座を用いて遺伝子型を決定した。また2004-2006年に採集した訪花昆虫の体表に付着した花粉粒(計3800粒)の遺伝子型を決定し、繁殖個体との親子解析を行った。結果、ホオノキの花にもたらされる花粉粒の遺伝的組成や多様性は、年や昆虫の種類によって大きく異なることが示された。 2.トチノキに関しては、調査地の選定及び訪花昆虫の観察・採集を行った。また、トチノキ花粉の遺伝解析手法の最適化を行った。訪花昆虫の体表に付着した花粉粒を遺伝解析したところ、付着花粉の自家花粉率、即ち昆虫を採集した個体由来の花粉の割合はどの昆虫においても高かった。このことは、トチノキのような大量の花序を同時につけるような樹種においては、隣家受粉の可能性が高まることを示している。 本研究のアプローチは、開花年、生育環境、送粉者の種類などが運搬される花粉の遺伝的組成・多様性にどのように影響するのかを直接的に明らかにするものであり、樹木の繁殖・更新動態を知る上で重要な知見をもたらすことが期待できる。これまでの研究成果の一部は、American Journal of Botanyに公表した他、平成21年3月に行われた日本森林学会大会における公募シンポジウム"Gene flow study of forest trees:the theory,application,and the perspective"内で成果の発表を行った。
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Research Products
(2 results)