2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経スパイク時系列データ解析に向けた統計解析手法の構築
Project/Area Number |
08J00958
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下川 丈明 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スパイク時系列 / ベイズ推定 / 発火率 / 不規則性 |
Research Abstract |
脳の構成単位である神経細胞の情報伝達はスパイク(神経発火)によって行われている。しかし、スパイク時系列を解析するための手法は確立されておらず、どのような形式でスパイク時系列に情報が符号化されているかについては、いまだ明らかにされていない。そこで我々は、ベイズ推定の手法を用いて、神経スパイク時系列の統計解析を行っている。 スパイク時系列の特徴としてまず挙げられるのが発火率(発火頻度)であり、それにある程度の情報が符号化されていることは広く認知されている。だが、他にも注目を集めている特徴として、発火パターンの不規則けが挙げられる。この不規則性(特にその時間変化)においては、これまでアドホックな解析手法しか考案されておらず、厳密に議論することが難しかった。 我々は当該年度の研究により、一試行のスパイク時系列から発火率と不規則性の時間変動を同時に推定可能な新しい方法を確立した。さらに、この解析手法を実験データに当てはめ、不規則性の時間変化の程度がV1,MTといった大脳皮質とLGNといった視床で大きく異なることを示した。これは皮質と視床でニューラルネットワークの構造が異なることを示唆するものである。 この研究成果は、学術論文誌Neural Computationに掲載を受理された。また、我々と近い統計解析の研究を行っているアメリカのグループが主催するワークショップForth International Workshop Statistical Analysis of Neuronal Data(SAND4)にてyoung investigator speakerに選出され、発表を行った。また、日本神経回路学会全国大会で口頭発表に選出され、発表を行った。
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Research Products
(3 results)