2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01308
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北台 紀夫 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 吸着 / アミノ酸 / 非晶質シリカ / ATR-IR法 / 解離状態 / リシン |
Research Abstract |
アミノ酸のペプチドへの重合化反応は,生命の化学進化において重要であり,これまで鉱物の触媒効果を利用した様々な模擬実験が行われてきた.しかし,まだアミノ酸の鉱物表面における吸着,重合過程にどのようなメカニズムが働いているのかについてはよく分かっていない.一方で,アミノ酸の解離状態は重合化反応速度,平衡状態に大きく影響することが知られている. 減衰全反射赤外分光(ATR-IR)法は溶液存在下における固体-液体界面のその場観測が可能な手法であり,また溶液中のアミノ酸の解離状態についても詳細に観測することが可能である.このため本研究では,ATR-IR法を用い,非晶質シリカへ吸着したアミノ酸(リシン)の解離状態についての定量的な評価を試みた. まず始めに,リシンの解離状態とATR-IRスペクトルを対比させるため,溶液pHを変化させたリシン溶液のスペクトルを測定した.これより,各解離状態(1価陰イオン,中性イオン,1価陽イオン,2価陽イオン)の存在状態を示す検量線を作成した.次に,シリカ+リシン混合液のスペクトルを測定し,検量線からシリカ表面に吸着したリシンの解離状態を調べたところ,吸着したリシンは広いpH範囲(7-10)にて主に1価陽イオンとして存在していることが分かった(約80%).この解離状態は溶液中のそれとは大きく異なっており,シリカ表面との電気的作用により,正に帯電したリシンが優先的に吸着したと考えられた.
|
Research Products
(8 results)